イタリアンレストラン「プランポーネ」オーナー　ムジャヘッドさんのハラール料理に対する思い〈2〉

Written by ムジャヘッドさん

About Japanese Halal Column Vol.1 is here.

僕は、３年前にイタリアンレストラン『Pran Pone』を開業しました。
当時はどちらかというと日本人のお客様向けのレストランで、イスラム教では禁止されているアルコールも提供していました。
しかし、一ムスリムとしていつかは完全なハラールレストランとして再スタートをしたいという目標を胸に抱いていたのです。
そしてその時がやってきました。
昨年、ハラールに取り組む日本人の仲間とのたくさんの出会いがあったことで、“日本初”の『ハラールイタリアンレストラン』としてリニューアルオープンをすることができました。
メニューは全てハラール、アルコールも提供していません。
また、店内には礼拝所を設置しています。
世界的に見ても珍しいハラールイタリアンは、ムスリムのみなさんにとても喜んで頂いています。
美味しいハラールイタリアンを食べ、時間になれば礼拝をして帰る姿を見ると、僕たちもとても心が安らぎます。
もちろん、これまで通り日本人のみなさんも美味しく召し上がり、ムスリムのことを温かく見守ってくれています。
今まさに、よりよい日本とイスラム教国のつながりのためのスタート地点に立ったばかりです。
今後、ハラールレストランの普及に向けた飲食業界へのコンサルティングや実践的なセミナーを行い、また“今日から使える！”ソースやドレッシングなどの企業様向けの販売もすでに取り引きが始まっています。

日本でハラール料理を作る時にとっても気を付けなければいけないのは味です。
そもそも料理は美味しくなければいけない。
誰がどこで食べても美味しく、美しく、そして安全安心でなければならない。
それが、日本にまだまだ浸透していないハラール料理であれば、なおさらのことです。
例えば、日本人の方が、日本のハラールレストランで初めてハラール料理を食べた時。
どう考えても美味しくない、味気ない・・・と思ってしまったら、その方の中では「ハラール＝不味いもの」というイメージが植えつけられてしまうでしょう。
そうなると、日本にハラール料理を広めようと思えなくなってしまいかねません。
そういった意味でも、僕たち料理人はこれからのハラール市場拡大に対する重要な責任を負っていると言えます。

さらにレストランには、人生の大切な時間とお金を使う価値のある素敵な空間がなければならないと僕は考えます。
ムスリムの方向けには、店内に礼拝所を設けていつでもお祈りができる環境を作ることも、大切なおもてなしの要素の一つです。
美味しい料理を提供すること、ホッと落ち着ける空間を演出すること、そしてお客様を温かく迎え、魂を込めてお世話をすることが僕たちの使命です。

僕は、今までもこれからも美味しい料理を作り続けます！
これから、さらに多くのムスリムの方々が日本に来ることでしょう。
みなさんが安心して日本に来て楽しく生活できるために、ハラールで美味しい料理や環境をもっともっと増やしていきます！
まず自分自身から、そして自分の周りの人たちから始めることが、今まで支えて下さったたくさんの日本人の方々への恩返しになり、さらには日本の明るい未来につながると信じて行動していくことを誓います。
みなさん、まずはオリンピックまでの５年間、真のグローバル化に向けて共に精一杯、魂を込めて走りましょう！